日本の広告・クリエイティブの専門誌『ブレーン』の表紙はひとつの色をテーマにアーティストが制作するものでした。2013年5月号でriceに課されたのはストロベリーレッド。その探求は光、反射、屈折といった色彩理論から始まりました。

光がない場所で色はどうなってしまうのだろう。赤は赤でも苺の香りがして初めてストロベリーレッドになるのではないか。けれど一粒一粒の苺は異なる赤を帯び世界中のどこにも「ストロベリーレッド」などという色はありません。こうした思索の末に制作されたのが実際の苺をつかったアートワークでした。ギャラリーの真っ白な壁を「苺の赤」という巨大な文字を型どったステンシルで覆い、大量の苺のピュレをエアコンプレッサで吹き付けるというもの。壁に描かれた文字に目を近付けると、ありとあらゆる苺の色相が浮かび上がります。ホーチミンの薄暗い一角に突如あらわれるアートギャラリーで煌々と照らされる苺の赤。これが私たちの辿りついたストロベリーレッドです。

*廃棄される予定の苺40kgを使用しました。

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